92歳のパリジェンヌ

年を取ると、色々なことができなくなる。車の運転、家事、排せつの失敗、など、それをどう受け止め生きるのか。考えさせられた映画だった。主人公は人生の美学を貫くために、92歳で、自分で自分の人生に幕を引く決意を家族に宣言する。家族は悩み、母親の決意を受け入れられないが、だんだん彼女を理解しようと思うようになる。ちょっと辛い内容だった。フランス映画。

ラ・ラ・ランド

ライアン・ゴズリング＆エマ・ストーン主演のミュージカル映画。売れない女優とジャズピアニストの恋を描いている。ジャズの演奏もめいっぱい楽しめた。特にライアン・ゴズリングのピアノがすごい。大変な特訓をしたとのことだが、彼って本当にピアニスト？と思ってしまった。そして最後に再会した二人が時間をさかのぼっていくシーンが感動的だった。映像もすごくきれいで、素晴らしい映画だった。

母と暮らせば

広島が舞台になる「父と暮らせば」と対になる映画である。山田洋次監督。戦後、長崎で助産婦をして暮らす孤独な女性を、吉永小百合、３年前に原爆で亡くなった息子、浩二を二宮和也が演じる。浩二の恋人の町子を演じる黒木華も魅力的だった。ある日、浩二は母親の前に突然現れ、彼の色々な思いを母に伝える。主人公の女性の年代が同じせいもあるだろうと思うが、息子を戦争で失う恐ろしさ、くやしさ、悲しさ、が怖いほど伝わってきた映画だった。

海難

1890年の和歌山沖でのトルコのエルトゥールル号遭難事件と1985年のイラン・イラク戦争で緊張が高まるテヘランでのトルコによる日本人の救出劇を題材に、日本・トルコ合作で映画化したドラマ。医者役の内野聖陽の英語がなかなか上手だった。

オデッセイ

火星に一人取り残される、食料も足りない、自分が生きていることは誰も知らない、という恐ろしい状況を冷静に受け止め、生きようとがんばる宇宙飛行士の主人公マーク・ワトニーをマット・デイモンが演じている。久々にわくわくする映画に巡り合えた。

パリ３区の遺産相続人

父親からパリのアパートを相続したマティアスは、それを売って人生をやり直そうと思い、ニューヨークからパリへとやってくる。しかし、そこには９０歳の老婦人が娘とともに住んでいて、やがて家族の複雑な事情が明らかになっていく。住宅ローンの代わりに売主に毎月年金を払う「ヴィアジェ」というフランス独特な売買システムも興味深い。

ブリッジ・オブ・スパイ

久々に感動する映画に出会った。スピルバーグ監督、トム・ハンクス主演。舞台は１９５０年~６０年代の米ソ冷戦真っ只中。ベルリンの壁が築かれたまさにその瞬間に、ソ連、東ドイツを相手に、すばらしい交渉を成し遂げる、アメリカ人の弁護士ジェームズ・ドノバンの実話である。ソ連のスパイ役のアベルを演じたマーク・ライランスの演技も光っていたが、なんといっても人間味あふれる弁護士を演じるトム・ハンクスに、拍手喝采。　

マイ・インターン

ロバート・デニーロとアン・ハサウェイのコンビで、期待を裏切らなかった。年金生活で妻に先立たれたベンは、なんとなく空しい毎日を送っている。ある日、彼は町で、人気のファッションサイトの会社がシニアのインターンを募集するチラシを見つけ、女性社長の下で働き始める。若い人ばかりの会社で、ベンは次第に皆に頼りにされる存在になっていくのだが、、、心が癒される、楽しい映画だった。

アリスのままで

若年性アルツハイマー病をわずらったアリスが、しだいに自分の記憶を失っていく様を描いた映画。ベテラン、ジュリアン・ムーアが見事に演じている。アリスは大学で言語学を教えている普通の女性よりずっとインテリ。だからこそ、自分を失うショックは大きく、彼女も周りの家族たちも混乱する。この映画の監督自身もALS（筋委縮性側索硬化症）という難病を抱えているということで、１つ１つの映像に、心にせまるものがある。自分がアリスのようになったらどうするのだろう。色々な思いがよぎった。

しあわせへのまわり道

夫に裏切られた、売れっ子書評家のウェンディは、娘の住むところへ行くために車の運転を習うことを決心、教官のインド人ダルワーンと運転の練習を始める。ボロボロになったウィンディは彼との関わりの中で、次第に立ち直っていく。ダルワーンの誠実さが心地よい。